2006年6月の記事一覧

MAM2001

Mathematics Awareness Month ( MAM )――April, 2001

「 Mathematics and the Ocean/ 数学と海洋 」  Barry A.Cipra and Katherine Socha

? 惑星の海洋―――地球の最も驚くべき事実はそれが水をかぶっている事である.我々の惑星の表面を支配し,遥か内陸に住んでいたとしても人々の生活に影響する地球の海洋――地球を巡り大西洋・太平洋や多くの小さい海を含む水の巨大な広がり――は,永らく驚きと恐れの源であった.有史の初期以来,人類男女は海洋とその中における生活の挙動を理解する様に努めて来た.海洋の知識は完全からは遠いが着実に進歩している.その多くの部分は数学の新しい発達に負っている.
科学的な接近は数学的解析の必要性をもたらした.今日 海洋学は基本的な海洋過程を表現する数学の方程式を使い,それらの意味を理解する数学的な理論を必要とする.研究者は音波ブイ,船舶計器や衛星からの多くの錯綜したデ−タ−を組み立てる統計学とその過程を利用する.偏微分方程式が,岩の海や航行する船の表面波から地球の周りを流れる深い海流に対してまでの流体運動の力学を記述する.数値解析により,これらの方程式の精度の高い解が得られるようになり;動的なシステム理論と統計学が付加的な洞察を導いた.今日の海洋学者はガリレオやニュ−トンの最高の伝統を継いで正に数学者である.数学は近代海洋学にぴったりの言葉であると諸君は思うだろう.
? 数学で何をやるか?―――もっとも基本的なのは,いかなる海洋過程もすべて変化することである.計測値は時間と共に変化する.(例えば潮流は1日2回の干満で海岸が動く)或いは場所から場所へ変わる(例えば潜水艦が海に深く潜った時の圧力).しかし温度や塩分の様な多くの数値は場所と時間の両方で変化する.変化する過程の表現に即応的な数学の領域は微積分と微分方程式である.特に偏微分方程式(略してPDE)は,時間と空間で連続的に変化する量を表現する.海洋学のすべての分野はこれらの問題に重く係わっている.
? 物理海洋学の観点―――物理海洋学は,惑星規模の循環と気象,沿岸海洋学,赤道海洋学,内面波動と乱流,表面波,大気−海の相互作用等を含む多くの学問分野を持っている.これらの分野で研究される現象が,複雑な形で相互作用しているのだが,多くの海洋学者は一つだけを見ている.これらすべての分野の包括的な評価は,海洋百科事典の大変多くの内容に満ちている.ここでは近代物理海洋学の特性がわかるいくつかの例を示す.
−−惑星規模の循環と気象
−−内面波動と乱流
−−渦
? 流体の将来――今日 海洋学者や応用数学者になるにあたり,最も興奮することの一つは,技術的・理論的進歩が非常に速いことである.目覚ましい技術的改良は,初期の海洋学では想像もできなかった大量デ−タの収集と解析を可能にした.10年前に比較して,今や巨大で上質な計算力が利用でき,大規模海洋モデルの高分解能の数値解が得られるようになった.それらは,実際の海洋デ−タの財産と比べられる理論的な結果を,初めて導き出すのに十分である.将来の数値解析は,局地的海洋モデルの正確な予報ができるような高分解能なものに進歩するだろう.
? 海洋を夢みる―――海洋はいろいろな感懐を呼び起こしてきた.海の美しさは我々の想像的美術,音楽,詩や科学を描き上げ世紀を通して人間の意識に共鳴して来た.疑いなく人類は海の精の歌に魅惑され――数学を含む――すべての有用な資源を使い海洋と共に生き それを理解し その魅力に惹かれ続けるであろう.Tani/Katase
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