vvv 日本数学協会 Zoom講義 vvv
【新テーマ】 『 関孝和の数学 Ⅰ 』
本テーマの講義は2週連続で行います。参加申し込みは、二つの講義(2週分)を一纏めです。
関孝和は漢字文化圏の数学者で初めて数学の一般論の重要性を主張した数学者であるが、従来この観点は見過ごされてきた。
関孝和の重要な業績の一つに消去法の一般論を西洋数学に先駆けて構築したことが挙げられる。
このことは今までも強調されてきたが、1未知数の代数方程式の一般論の構築を目指していたことは、ほとんど語られることがない。
関孝和以前は、方程式は問題を解くための手段であって、数学の考察対象とはなっていなかった。
関孝和は、方程式を数学の研究対象とし、今日ホーナー法と呼ばれる方程式の数値解法の理論を、
ホーナーよりも130年以上前に完成させていた。
ただ、中国伝統数学を受け継いだ関孝和の数学は、不完全な数学記号を使わざるをえず、
また、座標の概念がなかったために、関孝和の方程式論は未完成に終わった。
残念なことに、関孝和の考えは江戸時代の数学者には十分には受け継がれず、それ以上の発展はほとんどなかった。
本講義では、関孝和の代表作の一つである「解隠題之法」を原文に即して読み、
関孝和がいかに論理的な理論の展開に留意していたかを読み取りたい。
「隠題」とは1未知数の方程式で解くことのできる問題を意味し、「解隠題之法」では、1未知数の多項式の計算と、
方程式の立て方、組み立て除法を使って方程式の数値解を求める方法が述べられている。
現代の数学記号とは全く異なる記号を用いた記述であるので、それを理解するための準備として、
中国伝統数学の簡単な解説も合わせて行う。
* 講 師: 上野健爾氏(四日市大学関孝和数学研究所)
日程と内容
第1回 10月23日(日) 15:30 ~ 17:30
『九章算術』に始まる中国伝統数学の簡単な解説を行い、関孝和が用いた記号が理解できるようにする。
その上で,「解隠題之法」の第4節「相消」までを読む。
第2回 10月30日(日) 15:30 ~ 17:30
算木を使った中国伝統数学での方程式の数値解法の歴史を概説し、「解隠題之法」の第5節「開方」を読む。
これによって、組み立て除法を使う方程式の数値解法を関孝和が完成させていたことが分かる。
「解隠題之法」以降の関孝和の方程式論にも言及したい。
* 応募締切: 10月19日(水)まで (2回分)
* 受 講 料: 正会員=無料 非会員=2回分2,000円
* 参加資格: どなたでも参加できます(部分参加可能です)
* 募集人員: 正会員=30名 非会員=10名 (どちらも先着順)
* 申込方法: イベントアプリ 「 Peatix 」からお申込みください
https://peatix.com/event/3384470/view
※ 講義はZoom中継で開催します。
※ ZoomのIDとパスコードは、参加が確定された方だけに、各講義日の前々日までにメールで連絡します。