数学月間の会

SGK通信2007-03

「数学月間」思潮(その2)

戦後60年(還暦)の2005年に始められた数学月間の3年目、本年平成19年(2007年)の数学月間標語は数学と社会の架け橋」と提言したい。
米国は建国210年1986年に発足したMAMのテーマ
昨年2006年は「数学とインターネット保全」
今年2007年は「数学と頭脳」と報ぜられています。
このところ1〜2年の「数学と社会」に関し懸念する話題をメディアから拾ってみました。
 ◇日経2006(H18)2.27(月)技術立国揺らぐソロバン。ソロバンが国際競争力のカギを握る。
研究者・技術者、今後25年で100万人超す不足。子供たちの数学離れは深刻。15歳で「数学に興味あり」はわずか3割。

◇文部科学省2006(H18)5.17(水)数学研究と科学・産業技術との連携を考えるシンポジューム(日本数学会、日本学術会議主催)わが国ではその面での数学研究環境は年々悪化している。

◇朝日社説 2006年(H18年)6.13(火)同上「忘れられた科学」と題されたシンポジュームを取材。
数学の力、先細りさせないために、諸科学の先端分野或いは産業技術と数学の連携で我が国は不足しているとの声がある。
数学者はもっと生物学や工学など他の分野に進出して欲しい。
数学の力や魅力が社会に伝われば算数を好きになる子供たちも増えるだろう。
それは長い目で見れば数学の裾野を広げ、人材を厚くすることに繋がる。

◇第2年度 数学月間初日 2006年(H18年)7.22(土)数学月間懇談会、
機械工学系大家の方のご意見。昨今わが国の一部企業筋ではコンピューターがあるから数学は不要との風潮が見られるが米国IBMでは数学者をサービス部門に入れてソフト需要の開発をしていると聞く。

◇週刊東洋経済 2006(H18)12.16 小島定吉・日本数学会理事長に聞く、
数学は国の政策から忘れられた科学です。(以上表題)。
「数学は神様がやることだ」と恩恵に浴していくだけなら進歩の根幹に貢献できない。学問として固有には生きていけるかもしれないけれども、数学が社会から分離しちゃう。
米国の場合は企業の人も数学界に入っているんだと思う。
我が国でも数学と産業連携の振興、教育再生で数学教育時間数の充実が望まれる。

◇朝日 2006(H18)12.17(日)安部首相直属の教育再生会議。学力向上を重視。教育内容の充実や授業時間の増加
(数学の教科書はその事柄の社会的背景についての説明が少ない。数学月間で副読本的教材を提供したら数学に対する興味を増やし、教育再生の効果が上がる。)
 
◇ある数学の大家からの設問で数学者は年中数学をやっているのに何で数学月間が必要なのか。然るが故に数学月間は数学をやるだけのものではない。
数学と社会について考えてもらう期間と思ったらどうか。

社会から見ても年がら年中数学を考えているわけにはいかないので、大体夏休みという時期(7/22〜8/22)を狙って数学的行事をやる意義付け、社会的習慣をお勧めしたい。

いろいろなご意見を総括して、数学月間活動に期待される品質機能を並べると
(1)数学をやさしく解説して数学の重要性を理解して貰う。
                 ・・・・数学力向上に繋がる
(2)数学と諸科学の連携を強める
                 ・・・・夫々の分野で更なる発展が期待される。
(3)地方自治体の行政にTQMを導入する
                 ・・・・財政再建に結びつく
(4)数学的概念の応用で新しいビジネスモデルをつくる。
                 ・・・・・仕事のやり方を改善する
(5)数学・コンピューター・珠算と親しみIT浸透に寄与
                 ・・・・・珠算の脳波はα波に着目

 が揚げられます。
第3年度数学月間(H19・7・22〜8・22)の更なる充実を願う次第です。

数学活用分科会 片瀬 豊(SGK発起人)
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