2014年10月の記事一覧

033_大阪大学公開講座

大阪大学理学部数学教室は,
現代数学の様相と数学研究の実際,自然科学や社会科学に及ぼす数学の影響,文化としての数学の在り方などについて,多角的な視点から易しく解説する公開講座を,高校生を対象に夏休みのこの時期に開催しています( オープンキャンパスも同日実施されます).
まさに数学月間の模範になるイベントで,毎年,杉田洋教授より情報を頂きSGKのwebに掲載しています.今年のテーマは,“多面体の不思議”でした.
2014年8月12日(火),10:00~12:00
会場:     大阪大学豊中キャンパス 理学研究科 D棟 D307教室
講師:     村井 聡(情報科学研究科情報基礎数学専攻 准教授)
毎年,興味深いテーマが選ばれ,私も参加したいと思いつつまだ参加できずにおります.今回のイベントでは受講生が殺到し,準備した教室に定員の2倍近い人(約100人)が集まり,来年は教室の選択を考える必要がありそうと伺っております.
(出席していないので以下は私の勝手な解説です)

多面体はとても古くから考えらてきた図形で、紀元前のギリシャ時代には既にその性質が調べられていました.
多面体で基本的な定理は,オイラーの定理V+F-E=2(3次元)が有名です.これを使うとプラトンの正多面体(凸多面体)が5つというのがすぐ証明できます.正多面体というのは,面が1種類の正多面体でできており,どの頂点のまわりの状態も同一なものです.正多面体の記述は,定義の本質を捉えているシュレーフリの記号を用います.正p角形が頂点にq個集まっている(同じことだが辺がq個集まっている)状態は,{p,q}と記述されます.3次元の多面体は,面が3個以上集まらないと作れませんし,面が正3角形の場合には,6個集まると平面になってしまいますので,正3角形の面をもつ凸多面体は,{3,q},q=3,4,5しかありません.q=3の場合は正4面体,q=4の場合は正8面体,q=5の場合は正20面体です.
全ての面が合同な正3角形であるが正多面体でないものまで数えると8種類になりこれらをまとめてデルタ多面体と呼びます.
1種類で空間を隙間なく充填できる正多面体は立方体だけですが,2種類の組み合わせで空間を充填できる正多面体は,正4面体と正8面体です.
結晶学では良く知られていることですが,面心格子と体心格子というのも立方体と同じ対称性を持ち,それぞれのウイグナー-ザイツ胞(デリクレ胞とも言う)は,それぞれ菱形12面体,切頂正8面体になります.数学と諸科学[科学や造形]の関わり合いで現れる多面体の性質は,非常に興味を惹く話題です.
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