SGK通信2008-8(数学月間懇話会の梗概)
第4回数学月間懇話会のお知らせ
日時●7月22日(火) 14:00〜17:30
1.「数学月間」片瀬豊(日本数学協会)
日本数学協会は2005年に,7月22日〜8月22日を数学月間とすることを提唱した.米国では1986年のレーガン宣言でMath. Awareness Month (MAM)が始まった.数学月間は,数学への共感興味の高揚,数学教育の社会的意義の再確認を狙う.
2.「ある数学者たちの物語」 上野正(東大名誉教授)
フェルマーの定理は360年後の1995年に至りワイルズによりようやく解かれた.解決の道を開いたのは,1955年に日本で開催された国際シンポジウムで,まだ20代の谷山豊が提出した幾つかの予想だった.この「谷山の問題」がフェルマーの定理を解く鍵となる.谷山の没後50周年にあたり当時の思い出を語る.
3.「数学と基礎科学」 谷克彦(日本数学協会)
抽象化は物事の本質を取り出し,論理を展開させる.これが数学の醍醐味である.しかしながら,始めから完成品を見せられ面白くないのは私だけではあるまい.数学は科学の僕でもなく,裸の女王でもない.インターフェイスに注目しよう.入口は「抽象化の発見」,出口は「類比と応用」だ.日常社会とのつながりから教材を掘り起こすことで,数学への共感興味がえられる.例として,最小作用の原理,因果律,高次元空間,シミュレーションなどを取り上げる.
4. 特別講演「秘宝―数学的オブジェの照明」岡本和夫(東大)
東京大学大学院数理科学研究科には,百年ほど前にドイツから輸入した石膏模型がある.曲面や関数のグラフを可視化したもので,これほど多く残っているところはヨーロッパでもなかなか無いらしい.造形美術にも影響を与えた模型で,その方面でも知られている.これを今年の数学月間中に展示する(東芝ライテック株式会社の協力を得た).
数学的オブジェ見学
会場●東京大学大学院数理科学研究科(「駒場東大前駅」下車)
参加費●無料(懇親会参加者は別途3000円必要です)
懇親会●18:00〜20:00;構内ルベソンベールにて
懇話会・懇親会の申込み先●谷克彦(数学月間の会・世話人)
e-mail: sgktani@gmail.com, Fax:03-3383-2978