SGK通信(2010-02)黄金比のパズル(解答・解説・余談)

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この記事では,SGK通信(2009-14)の記事「黄金比のパズル」に,解答・解説・余談をつけます.
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■解答:
 
「ハトメ返し」(広い意味で)による解答をご紹介します.
複数個の解答が見つかっていますが,「ハトメ返し」による解答は現時点では1個だけです.
 
正5角形(小)と9個の色つき多角形を,図3のように「ハトメ(鳩目)」でつなぎます
(Aの角とAの角をつなぎ,...,Iの角とIの角をつなぎます).
すると,「ハトメ返し」により,図4のように正5角形(小)を背後へ隠せます.
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■解説1:
 
解説1・2では,正5角形(大)に外接する円をOとし,円Oの中心をPとします.
 
上記の解答により,
  ?[正5角形(大)の面積]=[正5角形(中)の面積]+[正5角形(小)の面積]
つまり
  ?[正5角形(大)の辺の長さ]の2乗
  =[正5角形(中)の辺の長さ]の2乗+[正5角形(小)の辺の長さ]の2乗
が分かります.
そして,この等式?を使えば,ユークリッド『原論』第13巻・命題10の等式
  ?[円Oに内接する正5角形の辺の長さ]の2乗
  =[円Oに内接する正6角形の辺の長さ]の2乗+[円Oに内接する正10角形の辺の長さ]の2乗
を示すことができます.
 
実際,図1を観察することで
  ?[円Oに内接する正5角形の辺の長さ]=[正5角形(大)の辺の長さ]
  ?[円Oに内接する正6角形の辺の長さ]=[円Oの半径の長さ]=[正5角形(中)の辺の長さ]
  ?[円Oに内接する正10角形の辺の長さ]=[正5角形(小)の辺の長さ]
が分かり,等式?を等式?に書き換えることができます!
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■解説2:
 
点Pから正5角形(中)の頂点へ線分(長・中・短)を引きます.
点Pが正5角形(中)の対角線の交点なので,
  ?[黄金長方形の長い辺の長さ]=[線分(中)の長さ]
  ?[黄金長方形の短い辺の長さ]=[線分(短)の長さ]
となるような黄金長方形を作図できます(このことはよく知られています).
 
さて,図1を観察する(線分を平行移動させる)ことにより,
  ?[線分(長)の長さ]=[正5角形(大)の辺の長さ]
  ?[線分(中)の長さ]=[正5角形(中)の辺の長さ]
  ?[線分(短)の長さ]=[正5角形(小)の辺の長さ]
が分かります.
従って,等式?を等式
  ?[線分(長)の長さ]の2乗=[線分(中)の長さ]の2乗+[線分(短)の辺の長さ]の2乗
に書き換えることができます(この等式はほとんど知られていないようです).
そして,この等式?を使えば,?,?となるような黄金長方形に対する等式
  ?[黄金長方形の対角線の長さ]=[線分(長)の長さ]
を示すことができます!
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■余談:
 
「黄金比のパズル」が完成するまでの経緯を,簡単に記しておきます.
 
事の発端は,小梁修氏が日本数学協会・会員制掲示板へ投稿した等式?でした.
小梁氏は等式?を,正5角形の作図法について考えていたときに,発見・証明したそうです.
 
小梁氏と私は,等式?をめぐって,掲示板で数年間(断続的に)議論しました.
その結果,等式?とユークリッドの等式?との関連が分かり,
等式?の「正5角形(3個)の面積を使う」新(?)証明ができました
(ユークリッドの証明も小梁氏の最初の証明も「面積を使わない」証明でした).
 
その後小梁氏は,「正5角形(3個)の面積を使う」証明をもとにして,パズルを作りました.
そのパズルでは,遊びを通して,等式?の証明が自然に学べるようになっていました.
そのパズルに刺激を受けた私が,
証明よりも遊びに重点をおいたパズルを作ろう! と試行錯誤した結果,
「黄金比のパズル」が完成したのでした.
 
なお,「黄金比のパズル」を作る過程でこだわったのは,以下の2点でした:
  ●正5角形(大)の多角形への分割において,正5角形(小)が分割されないようにすること
  ●正5角形(大)の多角形への分割を,「ハトメ返し」で解答可能な分割にすること
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「黄金比のパズル」に対するコメントをお待ちしております
(コメント欄か谷克彦氏(SGK世話人)までお願いいたします).